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名前はロッツォ、トイストーリーに登場した悪いクマである
でもなぜかディズニーでは人気者
老若男女問わずに愛されるキャラクターになっている

娘もロッツォがたいそうお気に入りで
私が大金をはたいて買ってあげた特大ダッフィー&シェリーメイより大切にしている

このロッツォが我が家に来てからずっと娘と一緒
ご飯のときも必ず隣にいて
宿題をやるときも必ず隣にいて
好きなユーチューブを観るときも必ず隣にいて
好きな音ゲーをやるときも必ず隣にいて
寝るときも必ず隣にいる

外に持ち出そうとしたときは流石に『汚れるからやめて、、、!』と止めましたが
もはや娘の相棒としてすっかり定着しているのがこのロッツォ様
入院が決まったときもいの一番に『ロッツォ!ロッツォ連れて来て!』と言うほどの愛玩ぶり
『持って来て』ではなく『連れて来て』と言うところがもう愛だなと思いました

看護師さんに『あ、トイストーリーに出てたクマだね』と言われても
『大丈夫!私のロッツォはいいロッツォ!』と元気よく答えていた
『私のロッツォはいいロッツォ』
どこはかとなく『鬼のパンツはいいパンツ』と似た語呂であり
娘にちょっとした文才を感じた親バカでした

私たち夫婦もこのロッツォには随分と助けられていると思う
娘と同じように大切にしてあげないとな
どうか娘を守ってくれよロッツォ、という願いを込めて
娘がグースカ寝ている間に写真を撮りました







先日、脊髄検査がありました
脊髄液を採取して病理で検査し
今後の治療方針を決めるという大事な検査

大人ならなんとなくわかるのでしょうけど
幼いこの子にはまだわかるはずもなく
ただただ不安でいっぱいだったのでしょう
検査室に向かうために繋いだ手は
小さく震えていました

麻酔から覚めた娘に『もう終わったよ、頑張ったね』と声を掛けると
安心したのか、それともまだ麻酔が残っていたのか
ロッツォを抱きしめてそのままグースカ寝てしまいました
その寝顔がもうたまらなく愛しかったのをよく覚えています

目が覚めてから娘は終始ご機嫌
『おわった!おわった!がんばったよ!がんばったよ!なんにもいたくなかった!』
と嬉しそうにはしゃいでいました
口数も増え、笑顔も増えた
それは親としてとても喜ばしいことだけど
この子はまだ自分の病気のことを何も知らない

たぶん、検査が終わったことでもうお家に帰れると思っているのでしょう
そのために勇気を出して脊髄検査に向かったのでしょう
そして検査が終わったことで安堵して、喜んでいるのでしょう

その笑顔を見ると
とてもじゃないけど本当のことなんか言えない
これから先、まだまだ越えなきゃいけない試練が幾つも待っていることなんて
言えるわけがないじゃないですか

それを思うともう切なくて切なくて
でも娘の笑顔を取り上げることなんて私にはできない
今はただ、張り裂けそうな思いを胸に秘めておくことしかできませんでした






主治医の先生(娘はヘイヘイドクターと呼んでいる)が言うには
明日金曜日の午後に、娘に病気のことについて告げるのだそうで(夫婦同伴)
そして月曜日に抗がん剤治療を行うためのカテーテルを入れるための手術の告知もするそうで
それがもう耐えられないほど私は怖いんです

娘が自分の病気のことを知ってしまう
知ってしまえばどうなってしまうんだろう
耐えられるのだろうか、こんなに小さな子が
それを思うともう、やり切れなくて、切なくて、辛くて、悲しくて
僅かに残ったポジティブな心も食われてしまいそうで
もうどうしようもない気持ちになってしまうんです

もちろん、全てが娘を救うための措置だということは分かっているけど
本音を言うと、今すぐ娘を連れて家に帰りたい
何もなかったことにしてあげたい
今まで通りの生活に戻してあげたい
『いってきー!』『いってらー!』という毎朝恒例のやり取りをしたい
何もなかった日常に、なんとか、なんとか戻ることはできないのだろうかと考えてしまう

それが叶わない願いだと分かっているから余計に辛くなる
この先のことを思いやると不安しかない
とてもじゃないけど、今は未来のことなんて考えられない

だからもう、しばらくは未来のことを考えるのはやめた
ただ、目の前にいる今の娘を笑顔にさせてあげることに全ての力を注ごうと思う
それを毎日繰り返していこう
その先に何があるのかはわからないけど
今は今に全力を出していこう

娘を絶対に『白血病を患ってかわいそうな子』にはしない
そして私達夫婦も『子供が白血病でかわいそうな夫婦』にもならない
今の状況は不運かもしれないけど
決して不幸ではないし、絶対に不幸になんかさせない

どんな不運な中でも幸せな家族でありますように
もちろんロッツォも一緒だよ












情緒を安定させるための文字起こしですので
読者の皆様はあまり気にしないでくださいね