抗がん剤治療は週に一度行われる
一時間ほど点滴で投薬して終わり

副作用は時間差で襲ってくる
昼前に投薬して、副作用が出始めるのがその日の夕方頃
そして翌日はだいたい丸一日ダウンして
翌々日の昼過ぎくらいから徐々に副作用が収まってくる
そして翌々々日に復活するという感じ

月曜日に抗がん剤治療をしたとすれば
月火水と三日間副作用と戦い
木金土日と四日間の休息がいただける
差し当たってはそれを約2ヶ月繰り返すことになる

娘氏は今日、2回目の抗がん剤治療を行なった
完全復活をするのは金曜日になりそう
この三日間が娘にとっても親にとっても
なかなかハードな三日間になる

娘は抗がん剤治療は一回経験済みということで
今回は初回よりも落ち着いている
相方も抗がん剤治療の経験があるので
どの程度の辛さなのかなんとなく想像がつくのだろう
私の心配を他所にわりと落ち着いている

私は抗がん剤治療をしたことがないので
抗がん剤治療がどれほど辛い治療なのかは想像もつかない
でも娘と同じ辛さを共有したいという心理が働き
想像し得る『最悪の痛み』を想像してしまう
この想像がもうメンタルをガシガシと削っていく

本当は親としてしっかりしていなければならないのに
私はもしかしたらダメな部類の親なのかもしれないなと
自尊心まで奪っていくから厄介だ

そんな私を見かねてか
娘がこんなことを言った

『私は今、ここにいることが奇跡だと思っているよ
だってあのまま病気のことがわからなければ、私はもしかしたら手遅れになっていたかもしれないんだから
病気が見つかったのはラッキーだよ
きっと私がいい子だから神様が助けてくれたんだね』

この言葉には驚いた
私はずっとそれを『不運』だと嘆いていたのに
娘はそれを『幸運』と言う

神様の存在や『いい子』というのは些か疑問だが
『幸運』というところは確かにそうかもしれない
なんで今までそれに気が付かなかったんだろう
脳天に雷が落ちる思いだった

不幸でも不運でもなかった
これは幸運だった
そして幸運の先には幸せがある

娘は今、幸運を掴んだ
そしてそれを手繰り寄せ
幸せを掴もうと必死に戦っている
そう思うと少し力が湧いてくる

今日は娘に大事な『気付き』を与えてもらった
子供だ子供だと思っていたのに
いつの間にか大きくなっていたんだな

こんなときなのに娘の成長が嬉しい一日だった